職業被ばく

医療従事者の職業被ばく管理の課題とNHKニュースNo.2

医療従事者の職業被ばく管理の課題とNHKニュース

2021年3月13日に「医療従事者の職業被ばく管理の課題とNHKニュース」を掲載しましたが、2021年6月7日、またNHKで関連報道がありましたので紹介します。

2021年6月7日 NHK朝のニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210606/movie/k10013070951_202106070543_202106070544.html

職業被ばくを測定するための個人線量計が必要な個数が配布されていない

厚生労働省による全国5,300余りの医療機関に対する調査で、職業被ばくを測定するための個人線量計が必要な個数が配布されていない施設が33.3%であったと報道されています。この「必要な個数が配布されていない」とは本サイトでも紹介している不均等被ばくの場合で、個人線量計が頭頚部用と胸腹部用の2個必要なのにも関わらず1個しか配布されていないことを指すものと思われます。

なぜ2個配布、着用しなければならないのかは下記の記事や図を参照ください。

実効線量の計算方法から理解する個人線量計の正しい着用方法 – WEB放射線管理室 (radi-manage.site)

私が関係した日本放射線公衆安全学会による調査においても26.3%の施設が個人線量計が必要な個数が配布されていない可能性が高いことを下記の論文の中で報告しています。

目黒靖浩,渡邉 浩,北山早苗,他.医療機関ならびに地方医療行政機関に対する改正省令ガイドの必要性.日本診療放射線技師会雑誌 2020;67(817):20-26
http://www.jart.jp/activity/ib0rgt0000006kex-att/2020-11_paper2.pdf

この調査では調査対象施設のほとんどがX線透視装置を保有していて少なくとも一部の従事者は不均等被ばくになり個人線量計を2個以上配布しなければなりませんが、全員1個という施設が26.3%もありました。

今回の厚生労働省の調査結果もほぼ同様の水準か若干悪い結果になっており、できるだけ早期に改善する必要があります。

2021年3月13日の記事では、病院における放射線業務従事者(以下、従事者)でもある医療従事者の職業被ばく管理の主な課題を下記に列挙して示しています。今回の課題は下記の②に相当します。

① 放射線業務を行っている従事者を適切に登録、管理する。
② 不均等被ばくを考慮して法的に必要な個人線量計を配布する。
③ 配布された個人線量計を確実に着用する。
④ 眼の水晶体の等価線量だけでなくすべての職業被ばく線量限度を遵守する。
⑤ 線量限度を遵守するとともに職業被ばく線量を合理的に低減するために、防護眼鏡等の必要な防護機材を配布あるいは配備する。
⑥ 線量限度を遵守するとともに職業被ばく線量を合理的に低減するために、防護機材を的確に使用するとともに技術的な方策を実施する。
⑦ 職業被ばくの実効線量ならびに等価線量を5年管理する。これには病院を異動した期間も含む。
⑧ 主として勤務する病院以外でも放射線業務を行う場合はそれらの病院での線量も合算して管理する。

個人線量計の適正な装着の周知がで出来ていない

また、今回のNHK報道では個人線量計の適正な装着の周知が21.0%の施設で出来ていないと報道しています。

本サイトで紹介しているように医師等の医療従事者に対する放射線防護に関する教育訓練(研修)が必要不可欠です。

医療被ばくと職業被ばくに関する職員研修を年間計画を立てて実行しよう! – WEB放射線管理室 (radi-manage.site)

研修の一例も下記のように示しています。
個人線量計の適正な装着の周知研修とは、下記の「職業被ばくの適切な線量評価と線量低減方策」になります。

IVRに携わる医療従事者を対象とした研修項目の一例

  • IVR施行時の患者線量
  • 国際機関や国内学会等の指針
  • 事故や障害発生事例
  • 行為の正当化とインフォームドコンセント
  • 当院のルール(例:2Gyに達した場合の対応等)
  • 患者線量の最適化と患者線量の記録、管理
  • 放射線障害が生じた(可能性を含む)場合の対応
  • 患者への情報提供の仕方
  • 職業被ばくの適切な線量評価と線量低減方策

厚生労働省が2020年8月に実施した自主点検等事業に基づいて自主点検を行うことによって、病院がこのような課題を持つのかどうかが確認できたはずです。また、職業被ばくに関する改正法令は2021年4月1日に施行しています。そのため、多くの医療機関が既に改善が完了しているか、あるいは改善の途中であると期待しています。もし、まだ改善できていない医療機関は早期に病院全体で取り組んでください。

最後に、NHK報道が続いており、社会的な問題になりつつあることを理解する必要があります。

2021.06.13

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