職業被ばく

医師を中心とした職業被ばくを低減するための具体的な方策Ⅱ -防護眼鏡の使用―

今回は2021年2月20日にアップした記事「医師を中心とした職業被ばくを低減するための具体的な方策Ⅰ」の続編として、「②線量に応じて防護眼鏡を使用する。」を解説します。

線量低減策を改めて列挙しました。

  • PCI等における天吊り防護板を適切に使用する。
  • 線量に応じて防護眼鏡を使用する。
  • X線装置を用いたERCPを実施する場合には防護クロス(*1)を用いる。
  • 上記の他に防護機材を適切に使用する。
  • 散乱線量を低減するための技術的な方策を的確に実施する。
  • X線量(一次線)を低減できる装置を新規購入あるいは更新する。
    *1:メーカによって呼称が異なります。

眼の水晶体の等価線量限度が国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を取り入れて大幅に引き下げられたことに伴って防護眼鏡の重要性が高まりました。
防護眼鏡は各社から販売されており様々なタイプがあります。

線量低減に寄与する鉛当量が異なっているもの、顔面の横や下側からくる散乱線を防護できるもの、顔の大きさに合わせたサイズが選べるもの、フルフェイスになっているものなどです。
これらの種類によって水晶体の等価線量に寄与する線量の低減率が異なってきます。

防護眼鏡の種類や用い方によりますが、50~60%程度の線量低減効果があると考えられています。

X線防護眼鏡でネット検索し、メーカのサイト等で確認してください。

一方で、術者である医師はこの防護眼鏡を着用しながら難易度の高い手術や検査を行い、的確な判断を行う必要があり、着用感も重要なファクターになります。
どのタイプのどの防護眼鏡を使うかは線量の状況や手技に応じて判断する必要があります。

PCIでは図1のような配置になるため術者である医師の左目の線量が右目より高くなることが多くの文献で示されています。また、2021年2月20日にアップした記事「医師を中心とした職業被ばくを低減するための具体的な方策Ⅰ」の図1で示したように散乱線は主に下側からきます。つまり、術者にとっては左下側から散乱線に照射されるシチュエーションになります。この方向からの散乱線を効果的に防護できる防護眼鏡が適切と思います。

ERCPもほぼ同様と思います。

しかし、整形外科で行われる神経根ブロックでは術者である医師のポジションにもよりますが正面下側かやや右下側から散乱線がくるシチュエーションになるのではないでしょうか。また、針を刺しやすくするために結構患者さんに近い場所(水晶体も近い)で手技を行うのではないでしょうか。線量が高い可能性があるため鉛当量の多いものの方が良いかもしれません。

防護眼鏡の線量低減効果や用い方の詳細については下記の参考文献を参照してください。

1) 赤羽正章.水晶体の防護方法と防護メガネの遮蔽効果.Rad Fan 2019年 8月号
2) Yuma Hirata, Toshioh Fujibuchi, Katsuya Fujita, et al. Angular dependence of shielding effect of radiation protective eyewear for radiation protection of crystalline lens. Radiological Physics and Technology published online 15 October 2019.

心カテ室、血管造影室、一般X線透視室、CT室(*1)、内視鏡室(*2)には個人的には必須と考えております。実際には線量に応じてということにはなりますが必要な個数を配備することを推奨します。

*1:X線の照射中にX線診療室内で患者さんの体動抑制等の行為を行う場合
*2:X線装置を使ったERCP等の検査に従事する場合

設備・備品の購入には時間がかかることが多いと思いますので早めに予算措置を講じることを推奨します。

防護眼鏡や水晶体の等価線量専用の個人線量計の配布・着用基準の考え方については後日配信するようにしたいと思います。

2021.02.21

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