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核医学:患者のスリッパ履き替えに関する調査結果が公開されました

医療の一つである核医学診療は非密封放射性同位元素を使用します。核医学診療を受ける患者は、これまで慣例的に管理区域内で使用するスリッパと管理区域外で使用する履物を区別してきました。つまり、管理区域内に入室する場合と管理区域から退室する場合に履き替えが行われてきました。

しかし、皆さん、ご存じのようにわが国は高齢化が進んでおり、患者も同様です。その結果、患者がスリッパ履き替えに伴って転倒する事故が発生しています1)。病院では患者の転倒事故防止は大きな医療安全のテーマの一つにもなっています2)

そのような背景の中、核医学診療に関係の深い、日本核医学会と日本核医学技術学会が連名で、「患者の核医学診療施設の入退出に係る安全確保に関するガイドライン」を公開しました3)

このガイドラインは厚生労働科学研究費補助金研究に基づいています4)

しかし、ガイドライン公開後、核医学診療の現場で、どのように運用されているかは示されていませんでした。

そのため、本学の診療放射線学研究の一環として、群馬県、埼玉県ならびに栃木県において核医学診療を実施している病院を対象にアンケート調査を行いました。

その結果に基づく論文が下記のとおり学会誌に掲載されました。

渡邉 浩、他.核医学検査室への入退出における患者のスリッパ履き替えの現況に関する調査報告.核医学技術 2021;41 : 442-447.

患者の転倒防止のために、下記のように多くの工夫がなされていることが分かりました。

これらの患者の転倒防止対策のアイディアを報告することで核医学診療の現場で医療事故防止に努めている方々の参考になれば幸いです。

詳細は論文でご確認ください。

また、本研究にご協力いた群馬県、埼玉県ならびに栃木県において核医学診療を実施している病院の皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。

患者転倒防止対策

・介助(技師、看護師、その他の職員、家族)
・入口への椅子やベンチの配置
・スリッパの工夫(種類を増やす、かかとがあり固定できるもの、シューズカバー)

参考文献

1) 宮下信,高橋 良昌, 秋山 真之,他:核医学管理区域内における汚染状況の調査とスリッパ履き替えに関する検討-スリッパによる転倒事故を経験して-.日放技誌.68(1):103-110.2011

2) 一般社団法人 日本医療安全調査機構 医療事故調査・支援センター.医療事故の再発防止に向けた提言第9号「入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷に係る死亡事例の分析」.2019年 6 月https://www.medsafe.or.jp/uploads/uploads/files/teigen-09.pdf

3) 日本核医学会,日本核医学技術学会:患者の核医学診療施設の入退出に係る安全確保に関するガイドライン.http://jsnm.org/archives/766/.

4) 平成 22年度厚生労働科学研究費補助金 (地域医療基盤研究開発推進研究事業)「 医療放射線の安全確保と有効利用に関する研究」 (主任研究者 :細野眞)「診療用放射性同位元素使用室への入退出時における患者のスリッパ等の履き替えの必要性に関する検討」 (分担研究者 :山ロー郎)

 

〇関連サイト紹介

患者さんのスリッパからの放射能汚染拡大は問題ですか? :放射線診療への疑問にお答えします (niph.go.jp)

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