職業被ばく

放射線管理フォーラムにおける講演が終了しました

第79回日本放射線技術学会総会学術大会において、下記の放射線管理フォーラムが開催されました。

2021年4月1日に、職業被ばく限度の一つである眼の水晶体の等価線量限度を改正した電離放射線障害防止規則等の関係法令が施行されました。
医療従事者の職業被ばく管理には、多くの課題が残されています。
是非、参考にしてください。
第79回日本放射線技術学会(JSRT)総会学術大会
https://www.jsrt.or.jp/gmeeting/soukai79/
放射線管理フォーラム 2023年4月15日(土) 13:10~14:10 (F201+202室)
「適切な職業被ばく管理の在り方について」
司会 九州大学 藤淵 俊王  秋田県立循環器・脳脊髄センタ- 加藤 守
① 法改正後の放射線管理状況の変化
群馬パ-ス大学 渡邉 浩
② 眼の水晶体の放射線防護に資する機材開発と被ばく低減対策
東北大学大学院 千田 浩一

放射線管理をテーマにしたフォーラムとしてはかなりの方が参加してくれました。

私の講演内容に関するものを中心に質疑の内容と、限られた時間でしたので少々補足をしたいと思います。

1) 病院長のリーダーシップが必要か
医療機関における放射線業務従事者の職業被ばく管理の問題は、多くの医師、看護師ならびに診療放射線技師だけでなく、他の医療従事者も関わります。特に、医師は眼科と皮膚科以外のほとんどの医師が関わると言っても過言ではありません。そして、問題は水晶体だけでなく手指の皮膚線量も関わります。そして、水晶体については、患者の救命行為とも言えるIVR件数を抑制してしまう可能性もある大きな問題です。この問題を放射線部門だけで解決しようとすると放射線部門と診療科部門との衝突を招く恐れがあります。私が分担研究者を務めた労災疾病研究においてもそのような事例が確認できています。このような問題を起こさないためにも病院長によるリーダーシップが望ましいと考えています。

2) 病院長にはどのようにアプローチすべきか
医療機関における放射線業務従事者の職業被ばく管理の問題は、わが国にとっても大きな問題であり、NHKも全国ニュースで何度か取り上げています。また、医療従事者の手指の皮膚線量の線量限度超過については病院長が刑事告訴される事例も生じています。1)に挙げたことも含めて丁寧に説明すれば病院長の理解を得ることは可能であると考えています。

3) 放射線防護研修の実施率が低いのではないか
電離放射線障害防止規則では医療機関で使用する医療用エックス線装置については放射線業務従事者の研修を明確に義務付けていません。また、多忙な医療従事者の研修を実施することはかなり難しいことを示しているのだと思います。そのため、今回の講演で具体的な例を示しましたように、医療被ばくの適正管理を求めた改正医療法施行規則において義務付けられた研修と一緒に行うと合理的かつ効果的に職業被ばくに関する研修も行うことができるのではないかと考えています。

2023.04.30
群馬パース大学
渡邉 浩

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