職業被ばく

職業被ばく管理セッションの良かった事例の紹介

神奈川県放射線技師会では、毎年、神奈川県と共催して診療放射線技術講習会を開催し、診療放射線技師の研鑽を行っています。

本日(2022年12月18日(日))の午後に、職業被ばく管理をテーマにした、下記のセッションに、企画した委員会メンバーとして参加しました。

主催者側なので手前味噌になってしまいますが、本当に4講演すべてとても良い内容で、これから医療従事者の職業被ばく低減に取り組む病院の参考になると思いますので、少しだけ内容を紹介しておきたいと思います。

1)労働安全衛生法自体には研修に関する規定がありますが、電離放射線障害防止規則では放射線業務従事者に対する教育訓練が明確に示されていません。そのためか、医療被ばくの適正管理を求めた医療法施行規則に基づく教育訓練や他の研修と一緒に医療従事者の職業被ばく低減のための教育訓練(研修)を行っている事例が紹介されていました。

2)医療従事者の職業被ばく低減のための教育訓練(研修)では、モダリティごとに、また、(座学ではなく)実際のX線診療室で行うのが有効ということが報告されていました。

3)個人線量計が装着されているかの確認や装着方法に間違いがないかの確認を放射線診療の実施前のブリーフィングの際に行っていることが報告されていました。他の講習会でも推奨されています。今後はこれを標準化すべきだと思います。

4)装置更新時に医療従事者の職業被ばく低減方法を考えて装置選択や作業場所を変更した事例が紹介されていました。

5)緊急時にやむを得ず管理区域内で放射線業務を行うことになった医療従事者に対して予備用の個人線量計を準備しておいて対応する事例が紹介されてました。健康診断の実施時期等の課題はありますが、病院の財務状況を考慮すると現状としては、医療従事者の安全確保と法令遵守の折衷案として現実的な方策と考えています。

6)水晶体専用個人線量計を防護眼鏡の内側に装着したら、頭頚部用の個人線量計の測定値に基づく水晶体等価線量が数分の一になった事例が報告されていました。

7)ネックガードにカバーを付けて、放射線(散乱線)が照射される方向に頭頸部用個人線量計を装着するアイディアが紹介されていました。このカバーは洗濯できるので使用者に好評のようです。

皆様の参考になりましたら幸いです。

以下、プログラムです。

〇放射線業務従事者被ばくの現状-全国調査から考えること-
演者 東海大学医学部付属病院 放射線技術科 山本和幸

〇放射線業務従事者等の管理について
演者 北里大学病院 放射線部 廣瀬達也

〇各施設における取組み

・従事者被ばく管理と教育訓練-当院における取り組みと工夫
演者 東芝林間病院 放射線科 高橋康太

・横浜市立市民病院における取組の工夫
演者 横浜市立市民病院 画像診断部 田邉頌章

2022.12.18
群馬パース大学 渡邉 浩

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