職業被ばく

医療従事者の職業被ばく管理の課題とNHKニュース

改正された電離放射線障害防止規則(以下、電離則)に対応して職業被ばくを適切に管理することが求められています。

しかし、改正電離則の内容だけに捉われていると病院が抱えている課題の全容を理解できず対策に漏れが生じる可能性があります。

そこで、今回は病院における医療従事者の職業被ばく管理の課題を紹介いたします。

病院における放射線業務従事者(以下、従事者)でもある医療従事者の職業被ばく管理の主な課題を下記に列挙しました。

  • ① 放射線業務を行っている従事者を適切に登録、管理する。
  • ② 不均等被ばくを考慮して法的に必要な個人線量計を配布する。
  • ③ 配布された個人線量計を確実に着用する。
  • ④ 眼の水晶体の等価線量だけでなくすべての職業被ばく線量限度を遵守する。
  • ⑤ 線量限度を遵守するとともに職業被ばく線量を合理的に低減するために、防護眼鏡等の必要な防護機材を配布あるいは配備する。
  • ⑥ 線量限度を遵守するとともに職業被ばく線量を合理的に低減するために、防護機材を的確に使用するとともに技術的な方策を実施する。
  • ⑦ 職業被ばくの実効線量ならびに等価線量を5年管理する。これには病院を異動した期間も含む。
  • ⑧ 主として勤務する病院以外でも放射線業務を行う場合はそれらの病院での線量も合算して管理する。

厚生労働省が2020年8月に実施した自主点検等事業に基づいて自主点検を行うことによって、病院がこのような課題を持つのかどうかが確認できます。この結果も含めて上記の課題の状況を確認して早めに対策を講じることが肝要です。
自主点検表

NHKによる関連ニュース

なお、これらの課題のうちいくつかは下記のように連日でNHKのおはよう日本で報道されており、社会的な問題になりつつあることを理解する必要があります。

NHKおはよう日本のニュース

○2021年1月11日
:医師の6割 法令で義務づけの線量計装着せず 産業医科大調査

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210111/k10012807951000.html

この中で、「医療が高度化し放射線を使う機器が増える中、医師の6割が法令で定められている線量計を装着していないことが、産業医科大学のグループの調査でわかりました。グループは、医療従事者の被ばくの実態が正確に把握できていないおそれがあり問題だと指摘しています。」と報道されています。
上記課題の「③配布された個人線量計を確実に着用する。」にあたります。

○2021年1月12日
:医療従事者 過去の被ばく量 引き継がれないケース多数

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210111/k10012807951000.html

この中で、「医療従事者の被ばくが正確に把握できていない問題が大学の調査で明らかになる中、医療従事者が他の医療機関に移る際、過去の被ばく量が引き継がれていないケースが多くあることが分かりました。調査した専門家は積算の被ばく量が分かっていなければ健康影響も把握できないとして、国などの一元的な管理が必要だとしています。」と報道されています。
上記課題の「⑦職業被ばくの実効線量ならびに等価線量を5年管理する。これには病院を異動した期間も含む。」と「⑧主として勤務する病院以外でも放射線業務を行う場合はそれらの病院での線量も合算して管理する。これには病院を異動した期間も含む。」があたります。

この報道では医療従事者の職業被ばくの一元管理についても言及していますが、一元管理とは5年に限らず従事者としてのすべての期間の職業被ばくを一元的に積算して管理することを示しており、現在、医療従事者の場合はこれが実現できておらず課題となっており、日本学術会議が「放射線作業者の被ばくの一元管理について」を低減しています。ただし、これは現時点では病院自体が負う課題にはなっていません。

2021.03.13

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