職業被ばく

不均等被ばく管理はできていますか?

不均等被ばく管理はできていますか?

X線透視中のエックス線診療室内に、医師、診療放射線技師あるいは看護師等の医療従事者が立ち入って放射線診療やその介助行為を行う場合、放射線防護衣(プロテクター)を着用します。

放射線防護衣を着用することによって、頭頚部と体幹部の被ばく線量が異なります。これを不均等被ばく言います(図1)。

不均等被ばくの場合は頭頚部用と胸腹部用の2個の個人線量計を着用することが法令で義務づけられています(図2)。

詳細については

実効線量の計算方法から理解する個人線量計の正しい着用方法 – WEB放射線管理室 (radi-manage.site)

を参照してください。

 

しかし、病院の一部では個人線量計を1個しか配布していない場合があります。医療分野の職業被ばくを適切に管理する上で、まずこの問題を解決すべきだと思います。

これが水晶体の等価線量限度の改正に端を発した抜本的な職業被ばく管理の第一歩になると考えています。

厚生労働省は2020年度に電離健診対象事業場に対する自主点検を行うように依頼しています。
・点検期間は令和2年8月7日~9月30日。
・回答方法は書面又はWEB。
・放射線業務を実施する全国の約17,000事業場(うち医療保健業は約8,400事業場)に
対して点検を実施し、約9,500事業場(うち医療保健業は約5,300事業場)が回答。
(回収率:57%)

この結果をホームページ000788913.pdf (mhlw.go.jp)に公開しています。

この結果によると、医療保健業のうち、不均等被ばくになる者のうち放射線測定器(個人線量計)を2個以上着用していない事業所が33.3%もあります。

このことはNHKによる報道でも紹介されています。
医療従事者の職業被ばく管理の課題とNHKニュースNo.2 – WEB放射線管理室 (radi-manage.site)

筆者が関与した下記の調査でも、調査対象の病院のほとんどはX線透視装置を保有しているにも関わらず放射線測定器(個人線量計)を全員1個配布と回答した病院が26.3%ありました。

目黒靖浩,渡邉 浩,北山早苗,他.医療機関ならびに地方医療行政機関に対する改正省令ガイドの必要性.日本診療放射線技師会雑誌 2020;67(817):20-26
http://www.jart.jp/activity/ib0rgt0000006kex-att/2020-11_paper2.pdf

この調査対象の病院は放射線管理や防護に関心のある診療放射線技師のいる施設です。それを勘案すればほぼ同様の結果と言えます。

全国の病院等で不均等被ばくを正しく測定していない施設が1/3あるということになります。

厚生労働省の調査内容の中の、不均等被ばく者に対する放射線測定器の配布状況の調査内容を示しました。この調査は自主点検という形式ですが、病院の現状を調査し、入力すると法令上の課題があることが分かるようになっています。

この調査に回答された方や病院の放射線管理担当者の方は、現状を把握されていると思います。

現在は不均等被ばくは適切に管理されていますか?

放射線測定器を1個から2個に増やすと、1人あたり1年間におよそ1万円費用が増加します。病院の経済状況が芳しくなく簡単なことではないことは承知しています。しかし、法令違反になっている可能性が高いですので、まずは、この不均等被ばくを適切に測定、管理できるようにしましょう。

2021.09.04

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