職業被ばく

ERCPに従事する医師の職業被ばく低減するための放射線防護具の改良研究論文が掲載、公開されました

放射線防護具の重量を2kg軽減した上で従来よりも医師の線量を低減できる改良に成功しました。
その論文が掲載、公開されました。
群馬パース大学機関リポジトリ

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は、従事する医療従事者の職業被ばく線量が多いことが知られています。特に、医師は患者近傍で作業するため、線量が高くなる傾向があります。
(ERCP室内線量の職業被ばく線量の測定法の開発もしていますので下記の記事と論文も参考にしてください。)
研究成果論文「 ERCP検査におけるX線診療室内散乱線量の個人線量当量としての測定」が早期公開されました – WEB放射線管理室

そのため、防護クロスや防護スクリーンと呼ばれる放射線防護具が開発され、販売されています。
しかし、放射線防護具の遮蔽率、言い換えれば医師の職業被ばく線量の低減率を高めるためには、含有する鉛の量を多くする必要があります。鉛の量を多くすると重量が重くなります。
エックス線装置は、設計や開発の段階で装置に荷重がかかることが想定されていません。
そのため、エックス線装置メーカから、荷重をかけ過ぎないで欲しいと要望されていました。

放射線防護具の鉛当量は、0.175 mmPbと0.25 mmPbの2種類があります。
それぞれの重量は、5.7 kgと10 kgです。

今回、我々は、市販の2.3 kgの防護シートを使って改良を行いました。
0.175 mmPbの放射線防護具に防護シートを縦に貼り付けるだけの改良です。
これで、0.25 mmPbの放射線防護具よりも2 kg軽く、0.25 mmPbよりも医師の線量低減率が高くすることに成功しました。
まさに、医師にもエックス線装置メーカにもやさしい放射線防護具です。
0.175 mmPbの放射線防護具を現在使用している病院の方は、是非、この改良を行ってください。
市販の防護シート代だけで済みます。

看護師が従事する場所は、0.175 mmPbの放射線防護具で十分な線量低減がなされていますので、看護師の線量が高くなることはありません。

なお、この研究は、本学渡邉研究室(ゼミ)4期生の卒業研究として実施したものです。
学部生の学会発表が終了し表彰されました – WEB放射線管理室
本ブログでは、ゼミの研究活動も紹介しています。
皆さんも一緒に研究してみませんか。

2025.07.20
群馬パース大学
渡邉 浩

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です