先日、労働基準監督署の立入検査があったとの情報がありました。
立入検査の連絡があってから、実際の立入検査まで1週間から10日間と、抜き打ち的なものだったようです。
労基が立入に入るケースは2パターンあるようです。
〇抜き打ち監査
労基法として全体的(電離放射線障害防止規則を含む)に健診や労働状況等確認
〇従事者の被ばく管理に問題が考えられる場合等
電離放射線障害防止規則に関するものの確認がメイン
防護衣の状況やバッチの着用方法なども確認
労働基準監督署から要求された資料は
電離放射線に関する装置の使用、対応の状況がわかるもの
だったそうです。
装置の使用や対応状況のわかる資料ということであると、
① 装置一覧
② 放射線業務従事者一覧
③ 電離則に関する書類(健診や線量記録(人及び施設)等)など
が準備する資料として考えられるようです。
労働基準監督署による立入検査は30年ほど病院で放射線管理者として働いた私も記憶にありません。おそらくそういう病院が多いと思いますので参考までに記事として掲載させていただきました。
実際の立入検査では、放射線領域には特に指摘は無かったようです。
「電離放射線に関する装置の使用、対応の状況がわかる資料」は、下記の資料だったそうです。
①どのような装置があるか
放射線機器一覧表
②安全対策
防護具、防護設備設置一覧表
安全教育の記録簿
前年度の個人算定値管理表
③管理区域
平面図
上記以外に確認された事項は下記のようです。
●線量計の装着状況は?(安全衛生委員会の議事録を確認)
眼の水晶体の等価線量限度が大幅に引き下げられた改正電離放射線障害防止規則の施行(2021年4月)から、既に3年が経過しました。特定の医師に対する経過措置の期間も過ぎました。
ここ数年は新型コロナによる影響で医療法施行規則に基づく保健所等の地方医療行政機関の立入検査も十分に実施できなかった地域もあると思います。
病院の医療従事者の職業被ばく管理は多くの問題を抱えていて、日本学術会議から見解も示されています。
そういう意味で、病院の職業被ばく管理への立入検査と指導はこれからが本番と考えています。
今後、保健所等の地方医療行政機関による立入検査で本格的な検査が行われると思われます。また、労働基準監督署による立入検査が増える可能性もあります。
本ブログでは、医療機関における職業被ばく管理を適切に行うためのガイドも公開していますので参考にしてください。
医療機関における職業被ばく管理に関するガイド – WEB放射線管理室 (radi-manage.site)
病院の職業被ばく管理の充実を図っていただければと思います。
2024.10.14
群馬パース大学
渡邉 浩